追いかけて、つかまえて
頒布終了した『あいくるしい3』より、大学生鳳宍の追いかけっこ旅。 鳳長太郎の迂闊 大学二年目の夏休み。今年こそ、去年出来なかったことをしたい!せっかくの夏だもん。思い出作らないともったいないでしょ。一年目は大学の授業や初…
続きを読む →頒布終了した『あいくるしい3』より、大学生鳳宍の追いかけっこ旅。 鳳長太郎の迂闊 大学二年目の夏休み。今年こそ、去年出来なかったことをしたい!せっかくの夏だもん。思い出作らないともったいないでしょ。一年目は大学の授業や初…
続きを読む →こんばんは、と鳳はひとりごとのように小さく呟きながらアパートのドアを開けた。途端、賑やかな笑い声とテレビの雑音が鳳の耳をつんざく。深夜一時を過ぎているにもかかわらずこんなに騒いでいて良いのだろうか、と鳳は内心ハラハラとし…
続きを読む →35℃を超える猛暑日が続いている。茹だるような暑さとはよく言ったものだ。まるで風呂の中にいるかのように、湿気と汗でじっとりと張り付く衣類が鬱陶しい。体中にまとわりつく暑さから逃げるようにして自宅に帰り着いた宍戸は、うんざ…
続きを読む →宍戸さんの2/14と、長太郎の3/14のお話。両片思いから始まる恋。 2/14 恋心を拗らせている自覚はある。先輩という立場を利用してそばに居続けここまできた。そのせいで、今更進むことも引くこともできなくなっている。同じ…
続きを読む →長太郎誕生日おめでとう! 付き合いたての鳳宍です。 悩んでいる。経験したことのない悩みゆえ、解決方法がわからない。長太郎の誕生日が迫っているのだ。部活を引退して、いろいろあって長太郎と付き合うようになった。長太郎は、ただ…
続きを読む →1/1 鳳宍ワンドロに投稿しました。 鳳は走る。眠りから目覚めつつある住宅街を、ひとり風を切って走る。松飾が視界の端に映っては消え、冷たい空気が上気した頬を刺す。家々を照らし始めた朝日はきらきらと空気を輝かせ、鳳はしみる…
続きを読む →簡単な一言が言えない、なんてことはよくあることで、午睡を貪り日の傾きかけたころに目覚めた鳳長太郎は呆然と天井を見つめていた。ソファーに上背のある体を折り畳むように収めて眠っていたせいで、かすかに筋肉の動きがぎこちなく、良…
続きを読む →家族が出払った家の中を、宍戸さんの手を引いて歩くのは何度目だろう。クーラーの効いた廊下を進むとき、宍戸さんはなにも喋らない。誰もいないとわかっていても、玄関で「お邪魔します」と言ったきり俺の部屋に辿り着くまで無口になる。…
続きを読む →ワンライお題メーカーから。 ほんの気まぐれ。ただの思いつき。文通なんて一度もしたことなかったけれど、誰かに話したくなった。誰でもいいんだ。俺のことを知らない誰かに、今の俺の気持ちをただ伝えたいだけ。綺麗な便せんなんて持っ…
続きを読む →丸襟の白いシャツに細いリボン。チェックのスカートに黒のストッキング。そんな、どこにでもありそうな女の子の学生服。だけどそれを着ているのは華奢で可憐な女の子ではなく、長身にがっちりと筋肉のついた俺なのだ。大学生になってもビ…
続きを読む →※女体化百合 事故みたいなものだった。宍戸さんと居残り練習をしたあと、二人だけになった部室で着替えていた。二人きりになることって滅多にないから、なんだか嬉しくなっちゃっておしゃべりが止まらなくなった。気が付いたときには宍…
続きを読む →夢を見た。長太郎が笑っていた。なにもない草原に一つだけ置かれたベンチに座って、俺の隣の長太郎がくすくす笑っている。なにが面白いのか聞いたら、長太郎は何もない向こうの方を指さして、楽しそうな音楽が聞こえる、と言った。俺には…
続きを読む →ピーカン照りだった昨日とはうって変わって、朝から土砂降りの最悪の天気だ。いつもの俺だったら、せっかくの休みなのに外に出られずテニスも出来ない一日なんてクソくらえと、イライラをゲームにでもぶつけて不貞腐れていたことだろう。…
続きを読む →それは宍戸さんの一言から始まった。 「なぁ、これって気持ちいいのか?」「え?」「いや、その、尻の中って、なんつーか……」「な、なんつーか……?」「気を悪くするなよ? その、気持ちよくねぇっつーか、なんにも感じねぇっつーか…
続きを読む →俺の住んでいるアパートの壁は薄い。ちょっと大きな音で音楽を流そうものならすぐさま壁を殴られる。夜中の静かな時間帯なんかは、隣の住人の足音すらも聞こえてくるくらいだ。他人の生活音が気にならないといえば嘘になるが、そこまで繊…
続きを読む →狼2の続きです 月が明るい。駅からの帰り道、ぽつぽつと街灯がともる路地を歩きながら見上げた空にはまんまるの満月。雲一つかかっていない。草むらがあるのかどこからか涼やかな虫の音も聞こえてきて、秋の月夜にピッタリな雰囲気を醸…
続きを読む →鳳長太郎がそのしるしを見つけたのは、部活終わりのロッカー室でのことだった。着替えの途中、上のユニフォームを脱いだままベンチにどっかり腰かけた宍戸の、ハーフパンツがめくれて露出した内ももにそれはあった。直径一センチの、すも…
続きを読む →狼の続きです あの満月の夜。初めて長太郎と深く繋がった夜。窓から差し込む淡い光をギラつく瞳に反射させて、長太郎は俺を見た。押し付けられ揺さぶられるたびに床に擦れた背中も、噛みつかれた首も、爪が食い込むほど強く掴まれた足も…
続きを読む →オオカミなんです、俺。青空の屋上で、弁当の肉団子に箸を突き刺しながら長太郎は言った。横目で見ながら口の中のサンドイッチを飲み込んで、パックの牛乳を啜って、流れの遅い雲を見あげる。「なんだそれ。昨日のこと言ってんのか」「え…
続きを読む →ベッドに押し倒されて、右手も左手も繋がれシーツに縫い止めるように拘束された。ゆっくり覆い被さってきた宍戸さんは俺の唇に唇を寄せて、そして啄むようにキスをした。「なぁ、今、なにしてる」宍戸さんが問いかける。分かりきっている…
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