ウォーク イン ザ フォレスト
森を歩こうという誘い文句があるらしい。昔読んだ本で得た知識なのだが、なんてことはない、セックスしようという意味だ。 どこの国の言葉かはっきりとは覚えていないが、おそらくは森の中が逢引きに適している環境なのだろう。 自然が…
続きを読む →森を歩こうという誘い文句があるらしい。昔読んだ本で得た知識なのだが、なんてことはない、セックスしようという意味だ。 どこの国の言葉かはっきりとは覚えていないが、おそらくは森の中が逢引きに適している環境なのだろう。 自然が…
続きを読む →『かたちあるもの』の続きです 顔面を涙やら鼻水やらでぐしゃぐしゃにした長太郎を玄関で見送って、さて、と踵を返したところでようやく実感が湧いてきた。じわじわと熱を持ち始めた頬を手の甲で拭う。「あ~~……」ついに渡してしまっ…
続きを読む →本日はお日柄も良く、真っ青な晴天に恵まれ、寒くもなく暑くもなく。ジューンブライドには少し早い五月晴れ。宍戸さんと俺は共通の友人の結婚式に参列した。同い年の新郎とは大学時代に出会った。内部進学組だった俺たちとは違い外部から…
続きを読む →久しぶりに激しく衝突した。お互いに虫の居所が悪かっただけの実のない喧嘩だ。たしかきっかけは俺が宍戸さんの呼びかけに返事をしなかったなんて、そんな些細なこと。俺にとっては些細なことでも、宍戸さんにとっては癪に障るようなこと…
続きを読む →朝から雨が降っている。昨夜の情事の疲労がまだ腰のあたりに残っていて、ベッドから起き上がるのも、服を着るのも億劫で、日曜だしいいか、と目覚めてからしばらくぼぅっとしていた。隣にはまどろむ長太郎がいて、その素肌の温かさを甘受…
続きを読む →SIDE 宍戸 荒い呼吸と不規則に喉を震わせるあられもない声。汗だくの肌がぶつかり合う音と湿った空気。光を通す白いカーテンは西日でうっすら朱色に染まっていた。肩にかけた俺の右足を抱き込むようにしながら、長太郎は緩急をつけ…
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