S責めしてたはずがM責めされてた話

※宍戸さん女体化の鳳宍♀です。

ちょっとした悪ふざけだったのだ。
仕事帰りに待ち合わせて外食し、そのまま宍戸の部屋に転がり込んで、さぁセックスするぞというとき。鳳は宍戸の両手首をネクタイで縛ろうとした。虐げたかったわけではない。たまには「ごっこ」遊びのセックスをしてみたかっただけなのだ。有り体に言えばSMごっこ。縛られて身動きの取れない宍戸にいつもより扇情的に求められてみたかった。本当に、興味本位の冗談のつもりだった。
しかし鳳の夢は潰えた。縛ろうとする鳳の手からネクタイを奪い取った宍戸が「なにこれ」とまるで彼女の兄に対する冷ややかな語り口調と同じトーンで聞くものだから、鳳は「あ、えっと、SMごっこってどうかな~と、思ったんですけど……」と宍戸よりもふたまわり大きな体を縮ませて答えるしかなった。「へぇ、おもしれーじゃん」とまったく面白くなさそうな顔で呟いた宍戸にされるがまま、鳳は両腕をうしろで縛られアイマスクを付けられた。すでにこのとき二人とも全裸。つまり鳳が想像していた逆の役割でセックスが始まろうとしていたのだ。

「SMってさぁ」
「は、はい」
ベッド下のフローリングに正座する鳳を見下ろし、宍戸が口火を切る。クローゼットの中、下着入れの奥に仕舞ってあるコンドームを手にベッドに乗り上げた宍戸は、音を頼りに宍戸のいる方向に頭を動かす鳳に微笑んだ。
「SがMをいじめるってことで合ってる?」
鳳と向かい合うようにベッドの端に腰掛けた宍戸は、右足を上げ鳳の肩に触れた。
「いじめるってのはちょっと違うかなと思うんですけど……」
「そうなのか? てっきり私のこと縛っていじめたいんだと思った」
宍戸のつま先が鳳の肩から胸、腹筋へとゆっくりと滑り落ちていく。鳳は真っ暗な視界で宍戸の声とつま先の一点が肌を這うくすぐったさに集中していた。
「嫌がることをするつもりはなかったんですってば」
「じゃあ、どんなことするつもりだった?」
宍戸が器用に鳳の下生えを足の指で挟んで引っ張る。突然のささやかな痛みに、鳳の腰が揺れた。
「あっ」
「ごめん、痛かったか?」
「……いえ、痛くありません」
そのとき、鳳は暗闇の中で宍戸の笑みを感じ取った。痛みにはさほど強くない鳳が痛くないと嘘をついた。宍戸の嗜虐心に火を点すには十分だった。
「痛くないんだ?」
鳳の下生えが引っ張られ、離される。もう一度引っ張られ、離される。そのたびに鳳は息を詰め腰を揺らした。宍戸が見下ろす先、鳳の股間はみるみる質量を増していく。
「ほんとだ。毛引っ張られて勃ってんじゃん」
カァッと赤面した鳳を目を細めて見つめ、宍戸はつま先を筋肉の張った太ももに走らせた。ゆっくりゆっくりと、折り畳まれた膝をくすぐり、内ももを撫でる。それだけで鳳のペニスは硬く張りつめた。
「し、宍戸さん」
「んー?」
「あの、こっちも触ってほしい、です」
「こっち? こっちってここ?」
足を上げた宍戸は親指の先で鳳の乳首をつついた。ぐにぐにと潰せば、つま先が鳳の胸筋にわずかに埋もれる。
「そ、っちじゃなくて」
「ふーん?」
「宍戸さんのいじわる」
「言ったな? じゃあ触ってあげなーい」
「えぇっ?!」
鳳の肌から宍戸のつま先が離れていく。このまま放置プレイに突入してはたまらないと、鳳は宍戸に言葉で縋った。
「宍戸さん! SMごっこなんですから俺に命令してください!」
「SMごっこしてるつもりなかったんだけど」
「いいから! 命令してください! なんでもするんで!」
ペニスをまっすぐに勃起させながら必死に頼み込んでくる恋人の間抜けな姿よ。しかし宍戸はその滑稽さを笑うどころか、己を一心に求めてくるひたむきさに胸打たれてしまったのである。
他人からは鳳の愛が重いとか泣き落とされたんだろなんて揶揄われることの多い宍戸だが、実際は宍戸も鳳に負けないくらい恋人にぞっこんなのである。恋は盲目なのだ。もちろん、両者ともに。
「じゃ、じゃあ」
おずおずと足を大きく開いた宍戸は、片足ずつベッドのへりに持ち上げM字に開脚した。後ろ手をシーツに付いてバランスをとると、鳳の目と鼻の先に性器を晒す格好になった。こんな姿、自ら鳳に見せたことなど今まで一度もない。アイマスクをしていなければ、頼まれても絶対にしたりなどしなかっただろう。ふっくらとした大陰唇もヒクヒクと震える膣口も、なにもかもが丸見えで恥ずかしいったらない。だが宍戸は、うっすらと湿り気を帯び始めた陰部を惜しげも無く晒してしまった。
「舐めて……」
自分で発した言葉なのに、腹の底に熱が宿った。自らふしだらな格好をしたこともなければ、誘うようなことも言ったことがなかったのに。なぜこんな行動を取ってしまったのか宍戸にはわからなかった。わからなかったが、体はすでに鳳を求めている。これがSMごっこなのか。宍戸は晒した性器に早く触れてくれと、熱っぽい瞳で鳳を見つめた。
「宍戸さん……」
鳳の行動は早かった。どこを、と言われずともわかったのだ。膝でベッドににじり寄って上体を傾ける。伸ばした舌がはじめにたどり着いたのは宍戸の太ももだった。吸いつき、リップ音を立てる。そこからたどるように、キスを降らせながら足の付け根へ頭を潜り込ませていく。鳳の耳は宍戸の吐息をとらえていた。噛みしめた唇の隙間から短く吐かれる甘い息。これも色っぽくていいのだが、やはり甘やかに漏れる嬌声にはかなわない。
鳳は宍戸の足の付け根を甘噛みした。筋張ったところに歯を立てると宍戸の腰がびくりと震える。宍戸には自分の性器が愛液に濡れ始めたことがわかっていた。まだ敏感な部分には一切触れられていないのに、鳳からもたらされる快感を期待して体が悦び勇んでいる。鳳の手によって快楽を植え付けられてきたこの体は、鳳を感じるだけで彼を受け入れる準備を始めてしまうように作り変えられていた。
「宍戸さんのえっちな匂いがする」
ちょっと身動きしただけで、敏感な部分が触れてしまいそうなほど近くに鳳の顔がある。吐息が性器にかかって、また少し愛液が溢れた気がした。
「や、だ……」
「命令してください。ここ、どんな風にして欲しいの?」
見えないはずなのに、絶妙な距離で宍戸の性器に息を吹きかけてくる。濡れやすい自覚がある宍戸は、垂れた愛液がシーツにシミを作り始めた感触が尻に伝わってきてたまらない気持ちになった。
早く触れられたい。いつもだったら何も言わずとも鳳があっという間に絶頂に導いてくれるのに、今はお預け状態で待てをさせられている犬の気分だ。早く、なんでもいい、気持ちよくしてほしい。宍戸は無意識にシーツを握りしめていた。
「ここ……」
「うん。宍戸さんのおまんこ」
「うぅ……」
「ねぇ、どんな風にされたい?」
「……舐めて」
「舐めるだけ?」
「っ……吸ったり」
「吸うの、宍戸さん好きだよね。気持ちいいもんね」
「うん……」
「あとは?」
「あと……?」
「一番気持ちいいこと。宍戸さんがいっぱいイッちゃうように」
「あ……」
「たくさん舐めて、吸って」
「っ、ん」
「かわいく勃起したちっちゃなクリトリスを」
「やぁ……っ」
「ぱくって食べて、やさしく噛んであげますね」
甘い声色の恋人が獰猛に宍戸の性器にむしゃぶりついた。愛液を啜る下卑た水音が宍戸の耳を犯す。愛撫で性感が刺激され膨れてきたクリトリスが熱い舌に押しつぶさる。電流が体の芯を走り、宍戸の腰が大きく跳ねた。
「ああぁっ!」
「もう、宍戸さんてば、腰動かしたら舐められないじゃないですか。ほら、ちゃんとおまんこ開いて、俺の舌が届くところにいてください」
カッと宍戸の頬が火照る。羞恥に涙が滲んだ。しかし鳳に言われたとおりに腰を据えた宍戸は、再び足を大きく開いて性器を晒した。鳳が舌を出す。その舌に触れるように腰を突き出したのは宍戸だった。
「きゃ、あぁっ」
ねっとりと舐め上げられ、愛液と涎で宍戸の性器はしとどに濡れる。勃起したクリトリスは、さらに大きく膨張させるかのごとく強く吸いつかれる。舌先で捏ねるようにくるくると弄ばれて、断続的な快感が宍戸を襲い続けた。ときどき事故のように包皮がめくり上げられ、剥き出た敏感な陰核に舌が当たるとそれだけで達してしまいそうになる。そうして溢れた愛液を掻き出すように密壺に舌が抜き差しされると、異物が届かない膣奥が切なく疼いた。
しつこいくらいの愛撫に腰を揺らさないようにするのは容易なことではなく、宍戸は甘イキするたびに幾度と無く腰を跳ねさせ鳳にたしなめられた。その都度性器を鳳の唇の近くに自ら位置取らせ、唾液まみれの舌が触れるのを待ちわびる。そしてクリトリスを執拗になぶられ、たまらず腰を跳ねさせては振り出しに戻るのだった。
「宍戸さぁん。逃げられてばっかりじゃ気持ちよくできないじゃないですかぁ」
「あ、ぁぁ、だって」
「えっちな声、もっと聞かせて欲しいな」
「でも、もうむりぃ」
「しょうがないなぁ。じゃあ次でイケるようにしてあげますから、もうちょっとだけがんばりましょ?」
「んっ、うん、っ」
汗一つかいていない鳳とは対照的に、宍戸の肌はじっとりと汗に濡れ、長い黒髪が頬や肩に貼り付いている。腰をずらすたびに愛液が滴り、アナルだけでなく尾てい骨近くまで濡れていた。
アイマスクをつけた恋人は、宍戸の愛液に濡れた口元をゆるやかに引き上げて微笑んでいる。その笑みに操られるように、宍戸は性器をさらした。
「そうだ、宍戸さんも手伝ってくださいよ。俺、手も使えないから」
「えっ……?」
「クリちゃん、むきむきしてあげてください」
鳳が舌先でクリトリスをちょんちょんとつついてくる。わずかな刺激でも達してしまいそうなほど敏感になっているクリトリス。その包皮をめくって陰核をさらせと言っているのだ。
「あ、やぁ……」
「やじゃないですよ。気持ちよくなりましょ?」
「でも……こわい」
「どうして? いつも俺がむきむきってしてあげてるでしょ? 気持ちよくて、このあいだなんか潮まで吹いちゃったじゃないですか」
「い、言うなぁ!」
「恥ずかしくないですよぉ。宍戸さん、とっても可愛かったです。ね、またアレやってあげますから。気持ちよかったでしょ? 俺にいっぱいかけちゃっていいですからね」
鳳は宍戸に話しかけながらクリトリスを舌でつつく。強さは決定的な快感をもたらすほどではなく、宍戸はかえって焦らされ、子宮が疼く。一刻も早く発散させてしまいたい本能が宍戸の自尊心を揺さぶった。
確かに気持ちよかったのだ。あのとき、鳳の手管で絶頂に導かれ、なにもわからなくなって、気づいたら鳳の手も腕もシーツもびしょぬれにしてしまっていた。あとを引く快感と解き放たれたような爽快感。相容れないはずの二つの感覚が体の中を渦巻いて、宍戸は鳳の腕の中で長い絶頂を甘受した。
あの快感をもう一度味わってみたい。粗相をするような恥辱の一部始終を愛する恋人に見守られながら達したい。
欲望に抗えない宍戸の指が性器に伸びる。宍戸の行動に気づいた鳳の舌が、じゃれつくように指先にまとわりついてくる。そして宍戸は愛液でぬるついて滑る包皮をなんとか剥き上げ、小さな肉芽を鳳に晒した。
「んっ」
「上手に宍戸さんのえっちなところ、むきむき出来ましたか?」
「うん……できた」
「じゃあ、いただきまぁす」
鳳の真っ赤な舌が伸びてくる。宍戸はたまらずぎゅっとまぶたを閉じた。そのとき、陰核に走るビリリとした衝撃。跳ね上がりそうになる体を必死に押しとどめるも、鳳の責めに次々と快感の波が襲ってくる。
「あぁっ! やぁぁ! も、もうだめ! だめ、だめ、だめぇ……っっ!」
支える腕を失い体を起こして居られなくなった宍戸は、背中からベッドに沈むしかなかった。それでも鳳に言われたとおり包皮を剥くためクリトリスから指は離さない。
宍戸の体が倒れ込んでも、晒された性器を舐める鳳にとっては大した問題ではなかった、鳳は敏感な肉芽を舌で押しつけ、ざらつく味蕾で擦り、唇をすぼめて吸い上げる。顎にまで宍戸の愛液が滴ったが気にならなかった。溢れ出る情欲は鳳への愛の証だ。鳳は宍戸の絶頂を今か今かと待ち焦がれ、そして宍戸の限界を悟ったタイミングで歯を立てた。
「あ”っっっっっ………………っっっっ!!!!!!!!」
コリ、とクリトリスを甘噛みされた宍戸は激しく体を痙攣させ、背をのけ反らせて絶頂した。瞬間、愛液とも尿とも違う透明な体液が吹き出る。それは鳳の顔面を濡らし、宍戸が絶頂している間不規則に噴出し続けた。
「気持ちよかったね。また潮吹きできたね」
鳳が、ガクガクと震える宍戸の内ももにキスを降らせる。それさえも快感を呼ぶのか、宍戸は喘ぎ声を漏らしながら腰を揺らした。足をおっぴろげにしたはしたない姿だ。鳳に見えてはいないとは言え、いつまでもこの格好でいるのははばかられる。しかし宍戸は指一本動かせないほど深く絶頂していた。普段と違う趣向がここまで宍戸を昂らせたのか。理由はわからないが、宍戸は今、無性に鳳に抱きしめられたかった。
「ちょ、たろ」
息も絶え絶えに鳳を呼ぶ。
「はぁい。ここにいますよ」
「ちょたろ、こっち来て」
「うん。待ってて」
正座を崩さなかった鳳は、宍戸に呼ばれて初めて立ち上がった。腕も縛られアイマスクをしたままでは移動もままならない。それでも宍戸に呼ばれたからには駆けつけなければ。鳳は不安そうな足取りでベッドに乗り上げると、宍戸を潰してしまわないように慎重に体を横たえた。
宍戸はのろのろと体を起こし、腕を鳳の背に回す。そしてネクタイの結び目を解いた。
「もう解いちゃっていいの?」
「ん」
「アイマスクも?」
「外していいよ」
鳳は自由になった手でアイマスクを外した。視界が開ける。焦点が合う前に宍戸からキスをされた。
「しょっぱい」
「宍戸さんの味ですよ」
「ごめん。またかけちゃった」
「気にしないで。それより、気持ちよかった?」
愛撫を思い出し、宍戸は頬を染めた。小さくうなずき、鳳に抱きつく。
鳳は汗だくの背中を撫でながら、宍戸のひたいに口づけた。
「俺も気持ちよくなっていいですか?」
抱きしめ、押しつけられた怒張の熱さに宍戸が息を飲む。
「うん、したい」
素直に体をすり寄せてくる宍戸に、今度は鳳が息を飲む番だった。
「宍戸さん、かわいいなぁ」
「聞き飽きた」
「いつも可愛いけど、今日の宍戸さんはもっと可愛い。いっぱい気持ちよくなったからですか? こんなにとろんとしちゃって。もっと気持ちよくなって欲しくなるじゃないですか」
名残惜しそうに体を起こした鳳は、ペニスにコンドームを被せ宍戸の足の間に陣取った。脱力した両足を軽々と持ち上げ、肩にかける。そしてぷっくり膨れて濡れそぼった性器に亀頭を押し当て、ゆっくりと密壺に埋め込んだ。
「あ、やぁっ」
「すご……宍戸さんのおまんこ、いつもよりとろとろだよ。熱くて、きゅうきゅうしてて、そんなに俺が欲しかった?」
「や、そんなこと、ないぃ」
「でも、ほら、聞こえるでしょ? 動くたびに、すっごくえっちな音がする。宍戸さんのおまんこが気持ちいいって言ってるんだよ」
「あぁ、やっ、あん、んぅっ」
耳をふさごうとした宍戸の両手をシーツに繋ぎ止め、鳳はさらに深く抽挿を繰り返す。宍戸は体を二つに折り曲げられる圧迫感と、膣奥を抉られる得も言われぬ快感に目の前でチカチカと星が飛んだ。肌と肌がぶるかる音と愛液がかき混ぜられる水音が部屋を満たし、二人は互いのことしか考えられなくなった。繋がる体が快感を拾い集め徐々に昇り詰めていく。終わるのが寂しいと感じるほど、二人は互いを離したくなかった。
しかし絶頂は訪れる。宍戸の足を肩から下ろした鳳は、痕が付きそうなほど強く細腰を掴んだ。突き上げるたびに反動でずりあがってしまう宍戸の体を押さえつけて、グロテスクなほどまでに張りつめたペニスで穿つ。
「あ、ぁ、ああっ!、やだ、だめ、だめだめ、だめぇっ! また、イク、っ……!!!!」
「宍戸さん、俺も、もう、いっちゃいそ」
「うんっ、うん、……っ!」
先に絶頂しカクカクと跳ねる宍戸の腰に、鳳は容赦なく己の欲望を叩きつけた。止められない射精感の許しを乞う。その浅ましさを、宍戸は力の入らない全身で受け止めた。

「SMごっこ、楽しかったですね!」
バスルーム。たっぷりと張ったお湯につかる二人の体からは、先ほどまでのセックスの生々しさはきれいさっぱり洗い流されている。
鳳に背を預ける宍戸は後ろから抱きしめられたり、腕を揉まれたり、頭皮マッサージをされたりと、あらゆるアフターサービスを受けていた。鳳にはセックスで宍戸の体に無理をさせている自覚があるらしい。この体格差だ。平均的な体格の宍戸に対して、身長だけでなくいろいろと規格外の鳳は、セックスのあとにこうやって宍戸を労ることを怠らない。宍戸自身は結合に関してはそれほど体がつらいとは感じてはいなかった。それよりも毎度執拗に絶頂を味わわされるので、ふわふわとした心地が長らく続き、セックスのあとは当分なにもしたくなくなる。だから鳳に世話を焼かれるのは悪くない。
「SMになってたかぁ? 途中から逆転してたじゃん」
「いいじゃないですか。気持ちよければすべてよし! またしましょうね」
美容に効くらしい耳マッサージを宍戸に施しながら鳳が言う。性的な快感とは違った気持ちよさに、宍戸はうっとりとまぶたを閉じた。
「今度は逆でもいいぞ」
うっかり口を滑らせてしまった宍戸がまたもドロドロになるまで鳳から愛される日は、そう遠くはないのである。